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お気に入りの小説、住野よる作「麦本三歩の好きなもの」

 「仕事がつまらない」「誰か褒めてくれないか」と思っていませんか。このように思うことは悪いことではありません。しかし、仕事がつまらないと思ったり、誰かに褒めて欲しいと思っていると誰もあなたのことを認めません。

 その理由は、あなたの行動に反映されているからです。このようにことを書くと「思っているだけだから態度には出ない」と思うかもしれません。しかし、現実には態度に出ており、そのことに気が付いていないのは、もしかしたら、あなただけかもしれません。

 簡単に好きなことで仕事ができるわけではありません。しかし、好きなことで仕事をするとどんな思いをするのか気になりますよね。

 そこで、今回紹介する住野よる作「麦本三歩の好きなもの」を購読することで追体験することができます。

 

  • 好きな空気の中で仕事が出来ているのだから幸せだ

 大学司書、麦本三歩(以下三歩)は小さい頃から好きなことがあります。好きなものは本を読むことです。ただ本を読むことが好きなわけではなく、本の匂い、本が置いてある空間といったことが好きです。

 一見すると本を読むことが好きなこと・本の匂い・本が置いてある空間が好きということは仕事にできないと思うかもしれません。しかし、大学司書という仕事を考えてみると変わります。大学司書は大学構内にある図書館で本の整理整頓・貸し出しの管理・お目当ての本を探している方の対応といったことをする仕事です。

 この仕事は生半可な気持ちではできないと思います。本当に本が好きな人でないとできない仕事です。その代表的な人物が三歩です。三歩は何処か抜けている人物です。しかし、本に対する思いは誰にも負けず、他の人が直ぐに諦めてしまうことを諦めず、それができた際には、幸せとさえ思う人物です。

 つまり、好きなことを仕事にするということは簡単に諦めず。それができた際、幸せとさえ思えることということです。

 

  • せめて好物を弁当に入れることで自分を褒める

三歩は書籍の中で次のようなことを思っています。「三歩としては一週間のうち半分も弁当を作っているなんて偉すぎると思っている」。この一節は一見するとへんてつもないように思えます。しかし、実はへんてつもないことではありません。

自炊している方は分かると思いますが、料理をすることは凄く大変なことです。しかも、お弁当まで作るとなると尚更です。自炊している場合、お弁当は誰か他人のために作っているわけではないので、褒めてくれる人・認めてくれる人はいません。

人は褒めて欲しい・認めて欲しいと思う時がたまにあります。そんな時、褒めてくれる人・認めてくれる人がいない人は何処かふてくされた態度に出ます。しかし、ふてくされた態度に出る前に自分自身を褒めること・認めることができます。しかも、比較的簡単な方法です。

それは三歩が行っているようにお弁当に好物を入れることです。このことで、辛いことがあったとしても、好物を食べるために頑張ろう、うまくできた時には、好物を食べることで認めて貰えたと思うことさえできます。

つまり、人は簡単なもので自分自身を褒めたり、認めることができ、より良い行動ができるということです。

 

  • 1つの小説で何十ページも読めないと思っている方にもオススメです

 私が住野よる作「麦本三歩の好きなもの」を購読するきっかけになったのは、ジュンク堂書店オンラインサイトのランキングを見たことがきっかけです。「麦本三歩の好きなもの」はランキング1位になっており、サイトで分かる範囲で書籍の内容を把握しました。

 目次を見てみると、何処か体験談のような感じがしました。しかし、お試しで購読できる機能があったので、購読してみると、体験談ではなく、短編小説であることに気が付きました。

 短編小説というと小説ごとに主人公が変わるイメージがありました。しかし、「麦本三歩の好きなもの」は主人公が変わることなく描写され、主人公、三歩がどんなことを考え、どんな人物なのかさえ分かりました。

 1つの小説を購読し始めると、読むことを止めることはできず、気が付いたら、1つの小説を読み終わっています。

 私が特に印象的だった小説は「麦本三歩は図書館が好き」です。特に最後の『三歩は手に取っていた本で、そっと隙間を埋める。「おかえり」』です。このセンテンスは行方不明になっていた書籍を見つけ、元の場所に戻したと捉えることもできます。しかし、前後の描写から考えると三歩が図書館で話をしたある登場人物のことを指していると捉えることもできます。

 住野よる作「麦本三歩の好きなもの」は色んな読み方ができると思います。1つの小説で何十ページも読めないと思っている方にもオススメです。また何処か日常生活に疲れている方でも十分楽しむことができる一冊です。


麦本三歩の好きなもの [ 住野よる ]